2013年08月21日

Billie Jean(1983年)

そろそろ、この曲に行ってみようと思う。

Thrillerの頃の大ヒット曲。Smooth Criminalがゼロ・グラビティになる前から、Billie Jeanといえば片手ラメ手袋につま先立ち、そしてムーンウォーク。モータウン25周年の伝説のパフォーマンス。スーツケースからおもむろにだした手袋をはめれば、誰もがこの曲を期待する。

しかしながら歌詞はかなりえげつない。姦計で僕を翻弄する、「悪女」の典型ビリー・ジーン。それが登場するのがこの曲だ。

She was more like a beauty queen from a movie scene
スクリーンの美人女優なんか目じゃない彼女
I said don't mind, but what do you mean I am the one
僕はいった
「別にいいけど、
 僕を”この人だわ”ってどういう意味なの?」
Who will dance on the floor in the round
観客席に囲まれて、フロアでダンスを踊るのは誰?
She said I am the one, who will dance on the floor in the round
彼女は言った
「"観客席に囲まれて、フロアでダンスを踊るのはあなただわ”って意味」


誰もが振り返らずにいられない、けれど性格の悪い美女。周りの男を釘付けにしてる。
場は彼女を中心に作られていく。モチーフはdengerousと同じ。

後の歌詞から、多分、生まれた子の父親にする男を捜していたのだろう。
そして「僕」をみて思わず「この人だわ(He is the one)」ってつぶやいたんだろう。
聞きとめた僕が無邪気に、だけどあくまで丁寧に聞く。
「僕をこの人だわってどういう意味?」
「ダンスを踊るのはあなたって意味」

僕の台詞のあとのWho will dance on the floor in the round
の部分は、最初は僕の台詞の続きかと思ったのだけれど、そうではなく、この後の不気味な展開を予測するナレーションのようなものだろう。
彼女は「ダンスを踊る=彼女のたくらみの中の役割を演じる」男を捜しているのだ。
たぶん、今までにも形は違うにせよ、彼女に踊らされてきた男はいたんだろう。
また、DengerousやBlood on the dance floorのように、こうしたことが日常の世界において「次に罠にはまるのは誰だ」という不気味な意味にも思える。そしてそうとったほうが、その次のビリー・ジーンの台詞も不気味さが際立つ。「いらっしゃい、あなたを次のターゲットにすることにしたわ。」彼女が答えた台詞は、つまりはそういうことだ。

She told me her name was Billie Jean
「ビリー・ジーンよ」と彼女が名乗れば
As she caused a scene
周りにざわめきがまきおこる
Then every head turned with eyes that dreamed of being the one
「あなただわ」っていわれることを夢見る目が皆振り返る
Who will dance on the floor in the round
観客席に囲まれて、フロアでダンスを踊るのは誰?


彼女が次に僕とダンスを踊ると宣言し、名前を名乗ったから、周りの男がみんな振り返る。彼女が動けばそこにざわめきがおきるのだ。みんなの羨望の目。本当は選ばれるということが、どんなことなのかも知らず。けれど、ビリー・ジーンの姦計のシナリオは着々と進んでいる。不気味な声がする。「次にフロアで踊るのは誰?」「次に嵌められるのは誰?」

People always told me be careful of what you do
みんなに言われた、やることに気をつけろって
And don't go around breaking young girls' hearts
若い娘の心を傷つけるようなことするなって
And mother always told me be careful of who you love
ママもいつも言ってた、恋する相手は慎重に選べって
And be careful of what you do cause the lie becomes the truth
何をするにも気をつけなさい、嘘はホントになるんだからって

Billie Jean is not my lover
ビリー・ジーンは僕の恋人じゃない
She's just a girl who claims that I am the one
ただ、僕を「この人だわ」って言うだけの女
But the kid is not my son
でもその子は僕の子じゃない
She says I am the one, but the kid is not my son
彼女は「この人だわ」って言うけど、その子は僕の子じゃない


結局、ビリー・ジーンのたくらみはこういうことだった。

For fourty days and for fourty nights
40の昼と40の夜の間
The law was on her side
法律はずっと彼女の味方
But who can stand when she's in demand
Her schemes and plans
でも誰が理解できただろう、要求を突きつけてる彼女の悪だくみ
Cause we danced on the floor in the round
僕らはフロアでダンスを踊ってしまったのだから
So take my strong advice, just remember to always think twice
だから僕は強く言っとくよ、いつも考えなおすことを忘れるな、
Do think twice
とにかく2回考えろ


40の昼と40の夜は、聖書にでてくる受難の日数。なぜかしら、イエスが荒野をさまよって断食修行した期間も、モーゼがシナイ山に登って祈った日数も、預言者エリアが神の声を聞くために歩いた日数も40日。なんか特別な数字らしい。それ以上はわからないけど。とにかくここではそれに匹敵するほどの長い試練だったということだと思う。

フロアでダンスを踊ってしまった、は、子供ができるようなことをしてしまった、という意味だろう。やはり言い逃れできないことをしてしまっているのだ。

She told my baby we'd danced till three, then she looked at me
ビリー・ジーンは僕の大切な人に言った「私たち3時まで踊ってたのよ」って
そしてビリー・ジーンは僕をみると
Then showed a photo my baby cried his eyes were like mine (oh, no!)
赤ん坊の写真を大切な人に見せつけた、彼女は泣いた
目もとが僕にそっくりだった(なんてことだ)
Cause we danced on the floor in the round, baby
僕らはフロアで踊ってしまったのだから


この辺は、Dirty Dianaでもでてきたモチーフ。ただ泣いて去っていく本物の恋人。

People always told me be careful of what you do
And don't go around breaking young girls' hearts
She came and stood right by me
彼女が寄ってきて僕の横に立てば
Then the smell of sweet perfume
甘い香水の香り
This happened much too soon
早すぎるよ
She called me to her room
彼女は僕を部屋に呼んだ


でもって、まるでdengerousのように、あるいは dirty dianaのように、結局は誘惑に負けちゃってる僕。
いつも思う、結局ついていっちゃうんだよね、、、。

Billie Jean is not my lover
She's just a girl who claims that I am the one
But the kid is not my son
(繰返し)

She says I am the one, but the kid is not my son
She says I am the one, but the kid is not my son
Billie Jean is not my lover
She's just a girl who claims that I am the one
But the kid is not my son

She says I am the one, but the kid is not my son
She says I am the one, she says he is my son
She says I am the one
Billie Jean is not my lover
(繰返し7回)


何度も出てくるけど、何度訳しても感情流入はできない。
恋人までいながら、ふらふらと浮気する。人間らしいけど困った男。
ずるいけど必死な女。

子供がホントに僕の子じゃないなんて、この歌詞からみるとわからない。
だって「ダンスをした」=「身に覚えがあることしちゃった」のだから。
ビリー・ジーンは子供を産んでから僕をひっかけたのか、本気で僕をひっかけようとして子供を産んだのか。

何かのときにこの曲を聴いていて、バックの女性コーラスがまるで赤ん坊の泣き声のように聞こえてきた。多分、意図してやってるんだろう。マイケル・ジャクソンがとにかく守りたいのは子供。他の曲をみても、スピーチをみても、行動をみても、それはとにかく一貫している。

このビリー・ジーン、wanna be startin' somethin'にもちらっと登場してる。こっちのビリー・ジーンはスクリーン女優顔負けの美女なんかでは決してなく、自分勝手な弾丸トークで周りを引かせる自己中女。でも歌詞を読んでいけば共通するのは、自分勝手なことのために子供を巻き込むな、そういうことだと思えてくる。

この歌において、僕の苦しみ、も叫びのうちの一つではある。けれど、それはふらふらとダンスを踊ってしまった報い、ある意味自業自得でもあることを、僕はわかっている。結局、母親になるビリー・ジーン、その相手になる男、それは究極にはどうでもいいんだろう。そんな自分の思惑のために子供を犠牲にするな。ビリー・ジーンの名前に込めたメッセージ、この曲で本当に言いたいのは、そういうことじゃないかと思う。

毒親、、、漏れ伝え聞くマイケル・ジャクソンの家庭には、少なからずそういう要素があったように思う。そしてそれによってマイケル・ジャクソン自身は、少年時代を失い、後々までそれを追い求めてさまよう人生を送る。そんな人を作るな、そんな子をつくるな。そういう叫びがこの曲のメッセージじゃないかと、そんな気がする。

posted by LightWing at 09:16 | TrackBack(0) | Thriller | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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