2013年06月25日

Tabloid Jankie(1995年)

タブロイド中毒者。

眩暈がした。すごい糾弾。低く、でも鋭く囁くような糾弾。けれど、もう、いいたいことはすごく解る。ごめんなさい。あなたが生きていたときに、私はすっかり警告されるyouの側だった。自分の頭で考えなかったからね。自分の目で見ようとしなかったからね。今でも果たして抜け出ているだろうか、と自問する。

マイケル・ジャクソンについてだけじゃない。ケネディが引き合いに出されているように、政治でも、社会問題でも。考えないで乗っかることは恐ろしいことになる。人を傷つけ、抹殺していく。

糸を引くThey、考え無しに乗っかるyou。もう何度も出てきているこの構図。

マスゴミなんていわれるメディアもメディアだけど、買うほうも買うほう、乗っかるほうも乗っかるほうなのだ。買うから売れる。面白ろがるから、はやる。最近だいぶ愛想憑かされてきてるけど。悪いだけなわけじゃない。けど鵜呑みにしてはいけない。無知は罪。考えないことも危険。もう、HIStoryの歌でずっと出てきているメッセージ。

Speculate to break the one you hate
嫌いなやつをやっつけるためあれこれと憶測し
Circulate the lie you confiscate
あちこちで押さえた嘘を君は広める。
Assassinate and mutilate
抹殺してバラバラにして。
As the hounding media in hysteria
ヒステリックにつけ回すメディアとして。
Who's the next for you to resurrect
次は誰を引っ張り出すんだ?
JFK exposed the CIA, truth be told the grassy knoll
"JFKはCIAを暴いた!? 真実は「草茂る丘」が物語る"
As the blackmail story in all your glory
君の手柄のためだけの脅迫の作り話


あいつは邪魔だ、そういったら消される。恐ろしい世の中。
Circulateはくるくる回す。confiscateは差し押さえる。あちこち「取材」して回ってあること無いこと重箱の隅つつくようにして「見つけた!尻尾はつかんだぜ!」っていう気持ち悪さがよくでた表現。

grassy knollはケネディが殺された現場の草が生えた丘のこと。ケネディ暗殺陰謀説の象徴みたいなもんらしい。いかにも一般受けしそうな見出しと、中身のない記事。何の真実解明もしないで怪情報を流しまくって手柄にする自称「記者」。

It's slander
やっていることは誹謗中傷。
You say it's not a sword, but with your pen you torture men
剣じゃないとはいうけれど、君はペンで人を拷問してる。
You'd crucify the Lord
キリストを磔にしようとしている。


ペンは剣より強し。マスコミが真実を訴え続けるならば、それは人を動かし、革命だって起せる。非暴力で自由のために剣=暴力と闘う。そんな崇高な理念が蹂躙されている。暴力ではないというけれど、やっていることは暴力そのもの。あたかも私は正義だといった人々が、キリストを磔にしたように、罪なき人を拷問にかけている。

And you don't have to read it (read it)
だから読む必要なんか無いんだ。
And you don't have to eat it (eat it)
だから真に受ける必要なんか無いんだ。
To buy it is to feed it (feed it)
買えば太らせることになる。
Then why do we keep foolin' ourselves
だのになぜ僕らはこんな馬鹿なことを続ける?


買うから栄えるのだ。買わなければいい。そういう訴え。

(Just because you read it in a magazine, Or see it on the TV screen)
(雑誌で読んだからってだけで テレビで見たっていうだけで)
(Don't make it factual)
(事実だなんて思っちゃだめだ)
Though everybody wants to read all about it
皆すべてを知りたくて読むんだとしても。


もう、ほんとうにこれは心しなくてはならない。メディアが伝える真実は、「そのメディアはそう主張している」。それだけだ。そういう吟味されていない生情報をインフォメーションという。これはそれ単体では何の役にも立たない。それだけどんなにかき集めても意味がない。

インフォメーションを吟味してそこからきちんと自分なりの確からしさの目論見をもとに発見したものをインテリジェンスという。英語には当たり前にそんな言葉の区別がある。それでも、こんなことになるのに。どちらも「情報」という日本語。まずはそっからかもしれない。吟味するということをしらない私達。吟味する方法をしらない私達。

(Just because you read it in a magazine, Or see it on the TV screen)
(雑誌で読んだからってだけで テレビで見たっていうだけで)
(Don't make it factual, actual)
(事実だなんて、ほんとだなんて思っちゃだめだ。)
They say he's homosexual
やつらは言うんだ、「やつはホモセクシャルだって」。


factual, actualと韻を踏んでおいて、最後は homosexual。こんなとこでもおどけて見せる。マイケル・ジャクソンの不屈さに敬服。

In the hood frame him if you could
スラムではできるだけ悪者にしておきながら
Shoot to kill to blame him if you will
望むなら撃ち殺して濡れ衣着せもしておきながら
If he dies sympathize such false witnesses
死んだら同情する、そんな偽りの目撃者
Damn self righteousness
ご都合のいい腐った「正義」。


hoodは貧民街。

貧民街の住民をできるだけ悪者にして、必要なら犯罪者にでっちあげて、でも死んだら「かわいそうに」っていう。実際に自分の目で真実を見ようともしないのに見てきたようなことを言い広める、偽りの目撃者とは、タブロイド紙やテレビでしか情報を得えようとしない私達のことだ。

そして、救いようのないことに、それを「正義」「公正」だと思っているのだ。こうして悲しむ私たちはなんて愛に溢れた人たちなんでしょう!とかね、、、damn it!(くそったれ!)

都合のいいときに、都合よく振り回される正義。

※righteousnessの訳を間違っていたので修正。重要な単語なのに、、、。(6/27)

In the black stab me in the back
黒人社会で俺は裏切られ
In the face to lie and shame the race
嘘をつかれて、人種で差別される。
Heroine and Marilyn
"マリリンにヘロイン!?"
As the headline stories of all your glory
お前の手柄のためだけのトップ記事。


この辺はマイケル・ジャクソンの自伝的なものも入っている気がする。わざとそれを思い起こさせるような言葉を並べているのだと思う。stab in the backは中傷するなんだけど、特に友達や親しい友人みたいな、仲間と思っていた人からの中傷、裏切り。だから「背後から刺す」。黒人だという強いアイデンティティを持ち黒人として差別されながら、白斑のために肌の色素が抜け、黒人からも揶揄される。そんな怒りと悲しみの表現だろう。In the face to lieは嘘つかれるような事態に直面する。

マリリンモンローがヘロインをやっていた、そんな記者が特ダネとして自慢したいがためだけの記事ネタにされる苦しみ。これは、「白人になりたいために肌を漂白した」という、有名な悪意に満ちたうわさのことじゃないだろうか。

前のパラグラフとあわせて読むと、涙がでる。まさにマイケル・ジャクソンが遭遇したことと重なる気がして。

It's slander with the words you use
やっていることは誹謗中傷 お前の言葉を使うなら
You're a parasite in black and white
白か黒か、お前は断罪のパラサイト
Do anything for news
ニュースのためなら何だってする


自分達が非難する相手に向かっては、「それは誹謗中傷だ!」って人はよく言う。けど、あなた達の語彙を使うなら、今、あなたがやっていることこそ誹謗中傷。

black and whiteはモノクロの印刷物、という意味もあるけど、ここでは、白か黒かのわかりやすい二元論でしかものごとをみない、という意味に取った。世の中そう単純じゃない。けど、単純な二分法はわかりやすくて受けもよい。それを求めるほうが愚かなのだけれど。そして勧善懲悪は心地よい。自分が正義になった気がするから。物事を単純化し、歪曲して、それに乗っかって「あいつは悪いやつだ!」と煽るやり口。そういう意味をこめて、この訳にした。

ニュースのためなら、悪者をでっち上げ、悪者をでっち上げるために捏造し拡大解釈し、フィルターをかけ。そんな話だと思う。

And you don't go and buy it (buy it)
だから、買いに行っちゃだめだ
Then they won't glorify it ('fy it)
そうすればやつらは取り繕えない
To read it sanctifies it ('fies it)
読めば認めることになる
Then why do we keep foolin' ourselves, Beat it!
だのになぜ僕らはこんな馬鹿なことを続ける?関わるな!


買いに行って皆が読む。そして信じることが彼らの権力になり、権威になる。皆がそっぽを向けば、なんの力もなくなるのだ。それがThen they won't glorify itの意味。でたらめな「権威」を崇めてるのは買ってる人。

Beat it!は、逃げろ。関わるな、に訳を直した。

(Just because you read it in a magazine) Beat it!
(雑誌で読んだからってだけで)関わるな!
(Or see it on the TV screen)
(テレビで見たっていうだけで)
(Don't make it factual)
(事実だなんて思っちゃだめだ)
Everybody wants to read all about it
皆全部読みたいと思ってる


(Just because you read it in a magazine, Or see it on the TV screen)
(雑誌で読んだからってだけで、テレビで見たっていうだけで)
(Don't make it factual)
(事実だなんて思っちゃだめだ)
See, but everybody wants to believe all about it
ああ、けどみんな全部ほんとだと思いたいんだ


(Just because you read it in a magazine)I can't believe it
(雑誌で読んだからってだけで)信じられないな
(Or see it on the TV screen)Beat it!
(テレビで見たっていうだけで)関わるな!
(Don't make it factual)Beat it!
(事実だなんて思っちゃだめだ)関わるな!
See, but everybody wants to believe all about it
ああ、けどみんな全部ほんとだと思いたいんだ


(Just because you read it in a magazine)
(雑誌で読んだからってだけで)
(Or see it on the TV screen)
(テレビで見たっていうだけで)
Don't make it factual, actual
(事実だなんて、ほんとだなんて思っちゃだめだ)
She's blonde and she's bisexual
「彼女はブロンドでバイセクシャルだって」


Scandal, with the words you use
スキャンダル お前の言葉を使うなら
You're a parasite in black and white
白か黒か、お前は断罪のパラサイト
Do anything for news
ニュースのためなら何だってする


And you don't go and buy it (buy it)
だから買いに行っちゃだめだ
Then they won't glorify it ('fy it)
そうすればやつらは取り繕えない
To read it sanctifies it ('fies it)
読めば認めることになる
Why do we keep foolin' ourselves
なぜ僕らはこんな馬鹿なことを続ける?


Slander,
誹謗中傷
You say it's not a sin, but with your pen you torture men
罪じゃないというけれど、お前はペンで人を拷問してる
Then why do we keep foolin' ourselves
なのになぜ僕らはこんな馬鹿なことを続ける?


sin 罪は法律上のではなく、神の前での罪。これだけ人を傷つけておきながら、悪いことなんてしてないと、開き直る自称「ジャーナリズム」。買うほうも買うほう。

(Just because you read it in a magazine, Or see it on the TV screen)
(Don't make it factual)
Though everybody wants to read all about it
(Just because you read it in a magazine, Or see it on the TV screen)
(Don't make it factual)
See, but everybody wants to read all about it

(Just because you read it in a magazine, Or see it on the TV screen)
(Don't make it factual)

 2回繰返し

You're so damn disrespectable
とても誉められたもんじゃないね


direspectableはrespectable=尊敬に値するの反対。もっと汚い言葉でののしるほうがいいのだけれど、適当な言葉が見つからなかった。


狂気の凶器。そんなことを感じさせる曲。

ペンは剣より強し。この表現をマイケル・ジャクソンが歌詞の中に織り込んでいることに注目したい。この歌を、またこれに類する糾弾の歌を、決して単なる「いつものマイケル・ジャクソンのマスメディア批判」と捕らえて捨てたくない。それじゃ、この歌の中のyouになってしまう。なぜ、あんなに美しく愛を歌うマイケル・ジャクソンが、こんなにも激しく怒りをあらわにするのか。

この激しい怒りは決して私怨じゃないと感じてる。これは人の根本を脅かす問題だから、こんなにも激しく彼は戦うのだと思っている。これは、民主主義の根本にかかわる問題。民主主義は、一人一人が、正確な情報に基づいて、熟慮と議論を重ねた上で、考え抜いた結論を元に進めていくことが大前提。そのために、正確な情報を「知る権利」が保障されているのだ。だからこそ、マスコミは強い権利を主張してきた。ここを間違えば判断を間違う。判断を間違えば、簡単に人権など侵害されていく。歴史をきちんと眺めれば、過去に流されてきた数々の血を思えば、それは解るはず。

なのにそれを濫用して、人権侵害を重ねるマスコミと、それを助長する衆愚の「罪」は重い。やがては自分にかえってくるのだけれど、、、、。

それをマイケル・ジャクソンは、相当の覚悟をもって、全力で訴えているのだと思う。ショウビジネスは、結局、「メディア」という宣伝媒体と切っても切れない関係にある。TVだってスポンサーには頭があがらないことを、いい加減みんなわかってる。その中で、これを1995年にやったマイケル・ジャクソンの偉大さ。不屈の精神。想像を絶するものがある。

メディアリテラシーを持とう。それもそうなんだけど、、、もう一つの解は「愛」を持とうだと思う。相手を思いやる心があれば、少なくとも人を傷つけることは避けられる。それがだまされないこと、面白半分のうわさを広めないことにもなって、結局は自分を救う。

2013/8/28 一部訳修正

参考にさせていただいたページ:
JFK muder soloved
Michael ♪Jacksonの音楽について語ってみるブログ
MJが教えてくれたこと
マイケルのメッセージ 〜 歌詞日本語訳集
posted by LightWing at 00:09| HIStory | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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