2013年08月02日

Dirty Diana (1987年)

ダイアナ、はダイアナ・ロスのことではないか、と騒然となった曲、ただし、マイケル・ジャクソン側はそんなこと当然認めてるわけがない。なので、単なるアイドル・グループを追いかけるグルーピーの曲ということになっている。

最後まで通して訳してしまうと、たしかにもう、グルーピーの歌としか取れない。けど1番だけ取り出すと、ちょっと違って見えてくるような気がしてる。

Dirtyはおきて破り、違反、の意味がある。なのでずるい、と訳した。

すると、「僕」の心に飛び込んできて、彼の心を捉えてしまい、離さなくなってしまった彼女がダイアナに重なる。ダイアナが言った言葉も、シチュエーションを変えれば汚い言葉ではなくなる。なんでも喜ぶことをしてあげたい。あなたが私を求めるなら、あなたの望むとおりにしてあげたい。それは別に汚いことではないだろう。ただ、一線越えてしまったら、それなりに関係は変わっていく。その覚悟は必要だと。彼女はそういったんじゃないだろうか。そのときは二人本気だった。だから、「僕」は彼女に捕らわれてしまった。

なのに。

前にも男がいたのは知っていた。でもまさか、僕を捨てて他の男に走るなんて思わなかった。あなたに捕らわれてしまった僕は、いったいどうすればいいの?このうたは嘆きの歌。放してくれないのは彼女ではない。
彼が離れられないのだ。

単なるグルーピーなら捨てればいい。けど、彼が彼女に捕らわれて離れられない歌。そこに注目すると、やはりこれは、彼がどうにも行き場のない心をぶつけた曲じゃないだろうかと思う。お願いだから、君に捕らわれてしまった僕を解放してほしい。と。

その心を吐き出し、2番3番で別のシチュエーションをかぶせてカモフラージュしている。そんなふうに見えないこともない。Who Promise Fortune And Fame, A Life That's So Carefree(富と名誉と安楽な人生を約束されたやつ)のあたりに、彼女が選んだ船舶王へのあてつけがみえるような気がしてしまう。

マイケル・ジャクソンとダイアナはジャクソン5デビューのころからの関わりがあり、マイケル・ジャクソンは「結婚相手としてみている」とまで言っていたらしい。しかし1985年にダイアナ・ロスは白人の船舶王と結婚している。

実際のところ、ダイアナが他の男と結婚したのは、彼が自分とでは幸せになれないと思ったからではないかと思っても不思議はない。あまりに年の離れたダイアナに、マイケルの親は大反対だったらしいという話もあって。マイケルなら「そんなことは関係ない!」というだろうが、ダイアナ側から見れば14歳も離れ、離婚暦もあり、連れ子もいるような身を省みたら、無理におしきるよりも、もっと祝福されるような相手を探してほしいと思って身を引いて不思議はないと思うのだ。大切に思えば思うほど、そういう思考になるような気もする。

結婚、の形をとらなくても、彼を支えて、彼を見守っていくことはできる。ダイアナは結婚という現実と、お互いを支えあう、という精神的な交流関係を切り離して考えることができたのだろうと思う。そこにずいぶん後からマイケルが気付いて書いたのが You are not aloneじゃないかと。

歌詞に戻ると、恋人に電話かけてまで、何人も他にも手をだしてる中から、本気になってくれない「僕」を誘惑しても、ダイアナにはあんまりメリットがないと思うのだが、どうなのか。悪女なら、もっと上手に誘惑しないと。だめだとおもっていても寝てしまうような女に、男はロマンを感じるのかもしれないけれど。

written by Michael Jackson

You never make me stay
So take your weight off of me
I know your every move
So won't you just let me be
I've been here times before
But I was too blind to see
That you seduce every man
This time you won't seduce me

僕を引き止めてなんておけないぜ。
だから僕の上からどいてくれ。
君の動きなら全部読めてる。
だから僕に手だしをするな。
僕は前から何度もここに来てたんだ。
でも僕は見る目がなかったな、
君が誰でも誘惑するなんて。
今度は僕か。でも僕は誘惑されないぜ。


一歩引いてみると突っ込みどころは満載。「誰でも誘惑するなんて」なんてどの口が言う、、、。後の歌詞を読めば僕のほうにも本命がいることが分かる。なのに、自分は女に誠実を求めてる身勝手さ。

She's saying that's okay
Hey baby do what you please
I have the stuff that you want
I am the thing that you need
She looked me deep in the eyes
She's touchin' me so to start
She says there's no turnin' back
She trapped me in her heart

彼女はいうんだ、いいわ、坊や。
あなたの喜ぶことしてあげる。
あなたが欲しいもの、もってるわ。
あなたが必要なのは私なのね、と。
彼女は僕の瞳の奥を見つめて、
彼女は僕に触れはじめてた。
そしていう、後戻りできないわよ。
僕は彼女の心の中に捕らわれた。

Dirty Diana, nah, Dirty Diana, nah
Dirty Diana, no, Dirty Diana
Let me be!

ずるいよ、ダイアナ、ずるいよ、ダイアナ、
ずるいよ、ダイアナ、こんなのいやだ
ずるいよ、ダイアナ、僕を放して!


Let me beは、僕をあるがままにしておいて、本来の僕に戻してくれ、というような感じだと思う。

She likes the boys in the band
She knows when they come to town
Every musician's fan after the curtain comes down
She waits at backstage doors
For those who have prestige
Who promise fortune and fame
A life that's so carefree

彼女はバンドマンが好き。
いつ街に来るのかよく知ってる。
幕が下りれば、どのミュージシャンも皆ファン。
舞台裏の扉で待ち受ける。
財産と名誉と不安のない安穏な人生を約束してくれる
名声ある男たちを。

She's says that's okay
Hey baby do what you want
I'll be your night lovin' thing
I'll be the freak you can taunt
And I don't care what you say
I want to go too far
I'll be your everything
If you make me a star

彼女はいうんだ、いいわ、坊や。
あなたが望むことしてあげる。
夜のおもちゃでも、あなたにさげずまれる奴隷でも。
何をいってもいいのよ、遠くへ行きたいわ。
私はあなたの何にでもなるわ
あなたが、私をスターにしてくれるなら。


自分と同じことを、他の男にもいってる。これが僕にはすごく悔しい。
でもさ、この男、ほかにきちんと彼女いるし、、、、。

freakは奇癖のある人、だけど、さげずむ、という言葉と一緒に使ってるので、SMプレイかなにかの奴隷役とかそんなのを想像して訳した。とにかく、自分のキャリアのためにどんな奉仕でもしてあげる、という彼女の貪欲さが表現できればいいんだと思う。

Dirty Diana, nah, Dirty Diana, nah
Dirty Diana, no, Dirty Diana
Dirty Diana, nah, Dirty Diana, nah
Dirty Diana, no Dirty Diana, Dirty Diana
Diana, Diana, Dirty Diana, It's Diana!

She said I have to go home
'Cause I'm real tired you see
But I hate sleppin' alone
Why don't you come with me
I said my baby's at home
She's probably worried tonight
I didn't call on the phone to
Say that I'm alright

彼女はいったんだ、家に帰らなくちゃならないわ。
わかるでしょ、とても疲れてるの。
でも独りで眠るなんて絶対嫌よ、うちに来ない?
僕は答えた、うちに大切な人がいる。
今夜もきっと僕を心配してる。
まだ電話して大丈夫だよと言ってないんだ。


、、、この辺も冷静に考えると、え〜、、、、と思う。。きっぱり断わろうよ。歯切れが悪すぎる。かえるコールしてない、というんじゃなくて、きちんと、僕は帰るんだ、と言い張りなさい、、、。結局離れられないのは僕の方。

Diana walked up to me,
She said I'm all yours tonight
At that I ran to the phone
Sayin' baby I'm alright
I said but unlock the door.
Because I forgot the key.
She said he's not coming back
Because he's sleeping with me

ダイアナは僕に歩み寄った。
彼女は言った、今夜はなんでもしてあげる。
僕は電話に飛びついていた。
「大丈夫、でもドアの鍵は今夜は閉めないで。鍵忘れたんだよ」
と言いながら
ダイアナは行った
「あんたの男は帰らないわよ。今夜は私と寝るんだから!」


だめだ、、、と思ってるのに、ダイアナに誘惑されて思わず乗っかってしまう僕。反射的に電話に駆け寄って取り繕うとする僕。まだ携帯ない時代だからね。僕の言い訳が、、、、情けなさ過ぎる気が。嘘つくんなら止めなさい。

Dirty Diana, no, Dirty Diana, no
Dirty Diana, no, Dirty Diana, no
Dirty Diana, no, Dirty Diana, no
Dirty Diana, no, Dirty Diana

Come on!, Come on!, Come on!, Come on!
やめるんだ!頼むから!やめてくれ!やめてくれよ!!


最後のCome on!の意味合い、最初はやけになって、ダイアナに「もういいよ、どうにでもなれ、ほら、ほあじめよう」と言っているのかと思ったんだけれど、あの絶叫を聞いているうちに思い直した。だめだ、だめだ、と思いながら囚われていく僕の、これは悲鳴じゃないかと。やめてくれ、よってくるな、せまってくるな、やめてくれ!!勘弁してくれ!!そんな感じかなと。

3面記事みたいな推測を書きまくったけれど、マイケル・ジャクソンを誹謗するのでなければ、許されると実は思ってる。マイケル・ジャクソンは決して優しくて気高いだけの人じゃない。それでショウ・ビジネスなんて渡ってこれるわけがない。彼は、歌手なだけでは決してない。作詞・作曲も手がけ、コンサートもPVも徹底的に自らの美学に基づいて計算づくで演出をいれている。プロモーションだって自分で決めている。打倒プリンス!とか売上げ1億枚とかいうスローガンで自分を鼓舞してた、なんて話もきいたことがある。そんなマイケル・ジャクソン、絶対計算した上で、話題づくりをしているはず。たとえ、決して話題づくりだけでうごけないとしても。これも「え?ダイアナ?」って周りに言わせるのも計算だったと思うのだ、、、。


そんな推測を離れて、歌詞を見てみると、、、男の優柔不断に漬け込んで、自分のキャリア・食い扶持をなんとか掴もうとしている強い女の話。他人を不幸にしてでも駆け上がってやろうとするところに汚さ、ずるさはある。けど、漬け込まれる要素がなければ本当はよってこない。男も優柔不断。そしてそんなこと、書いた本人もわかっているのだ。

この歌は、女の強さ、したたかさと、男の弱さ、ずるさの産む悲劇を書いた歌。人間の不条理、リクツで割り切れない男女のしょーもなさを書いた話。しっかり、自分のパートナーとそのパートナーとの安穏な生活を確保していながら、他の女に手をだす。Dianaからすれば、そんなヤツ利用して何がわるい、くらいの話だろうな。そうじゃなきゃ、あたしはこの人生を抜けられないんだから!ずるいのも汚いのもダイアナだけじゃない。

そしてこのモチーフ、DengerousとかBlood on the dance floorとか他にもでてくる。かっこつけてるけど、結局そういうことに思える。

この辺の弱さ、、、結構本人にもあったのかもしれないと思ってる。この推測は本人は望まないかもしれないけれど。いろんな歌詞を訳していて思う。結構この人、女好きだったんじゃないだろうか。そして、「ほんとに、もっときっぱり断りなさいよ!」という批判も本当によくわかってるんじゃないかと思う。ここで表現しているのはそれでもふらふらしてしまう弱さなのだ。人間ってそういうものだ、と。それがいい・わるい、というのとは話は別になるけれど。

そしてこれが、本人の傾向の一部だったとしても、そういうこともあるだろうなと思う。厳格な信仰をもつ家庭で、徹底的に潔癖に育てられてしまうと、免疫がなくなりかえっておぼれる、なんてことはあっても不思議はないと思う。しかも、本人のあの名声と容姿なら、勝手に向こうからいくらでも群がってくるだろうし。誘惑される機会はいくらでもあって不思議もない。

でも仮にそういうところがあったとしても、それは全く楽曲とか功績、彼の高潔さを傷つけるものでも全くないと思ってる。こういう不条理さを見つめられるところも魅力だと思ってる。

人なんて、まだら、だ。ある一つの傾向や思考に、全人格がそまってるなんてこと、そうそうない。そうだったらむしろ不気味だし、危険なことも多い。

女好きだったり、寂しがりだったり、幼稚だったり、コンプレックスに悩んだり、ときに挫折したり。そんなところがあっても不思議ではない。そんな人間が、一方で、大いなる愛をとき、平和への祈りをとき、不実への怒りから徹底的に戦い、そしてそれだけではなく、それを行動に移してる。普通の人間がそこまで強くなれること、こんな美しいものを残していくことにこそ、むしろ私は魅力を感じてやまない。

※ただし、狂信的なグルーピーと呼ばれる人たちの素行とか、彼女たちが彼にしたことをあまりよくしらないというのもある。それをしったら、またちょっと解釈が変わるかもしれないとも思っている。

参考:
http://allabout.co.jp/gm/gc/59513/

(2015/11/18 一部修正、加筆)
posted by LightWing at 14:30| BAD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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